そろそろ、皆さんの感想も落ち着いてきたように思いますので、十番勝負で問五の解答を考えていた時に感じたことを書きたいと思います。本当はその時に書き込みたかったのですが(下書きで書いてはいましたが)、さすがにネタバレになってしまいますので共通項発表を待って今に至ります。
十番勝負の問五で問題市になっていた宇部市の事が話題となっておりました。もちろん宇部市も五年間で630世帯減少しており該当市として何も問題はないのですが、人口が比較的多いことにも起因して、減少率は-0.86%と該当市の中では最も減少割合が低いためか、住民基本台帳ベースのデータとの誤差により違和感が生じたのかも知れません。(いくら調査方法が違うとはいえ、誤差と言うには大きすぎる差ではあるのですが…。)
さて本題は、今回、問五の解答を考えるに当たって、2020国勢調査の人口関係の統計と世帯数関係の統計を見比べた時に感じたことにあります。
今回の問五に関連する2020国勢調査の世帯数関連の統計を元に、「5年間の世帯増減数」を昇順(減少の多い順)で並べると、上位は下表のようになります。上位市の顔ぶれを見ると、いわゆる重厚長大産業の衰退ともイメージが重なる結果となりました。また震災の影響と見られる市も見られ、大きな減少率となっており、両方に該当する釜石市は-12.66%と数・率ともに大きな減少となっています。
【2020年国勢調査 5年間の世帯減少数の大きい順】
順位 | 市名 | 人口 | 人口増減率 | 人口増減数 | 世帯数 | 世帯増減率 | 世帯増減数▼ |
1 | 呉市 | 214,592 | -6.10802 | -13,960 | 94,483 | -3.00682 | -2,929 |
2 | 小樽市 | 111,29 | -8.714459 | -10,625 | 52,817 | -4.77590 | -2,649 |
3 | 函館市 | 251,084 | -5.60007 | -14,895 | 121,793 | -1.74022 | -2,157 |
4 | 釜石市 | 32,078 | -12.83626 | -4,724 | 14,725 | -12.66311 | -2,135 |
5 | 宮古市 | 50,369 | -11.12817 | -6,307 | 21,289 | -8.97080 | -2,098 |
6 | 長崎市 | 409,118 | -4.74729 | -20,390 | 187,423 | -1.05375 | -1,996 |
7 | 室蘭市 | 82,383 | -6.97913 | -6,181 | 41,766 | -4.24156 | -1,850 |
8 | 釧路市 | 165,077 | -8.40716 | -9,665 | 31,873 | -8.77112 | -1,351 |
9 | 天草市 | 75,783 | -8.40716 | -6,956 | 31,873 | -4.06634 | -1,351 |
10 | 相馬市 | 34,865 | -9.57309 | -3,691 | 13,875 | -8.77112 | -1,334 |
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54 | 宇部市 | 162,570 | -4.04830 | -6,859 | 72,595 | -0.86036 | -630 |
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このデータだけを見ていれば、ある程度予想できる結果であり、特段思うこともなかったのかも知れませんでしたが、十番勝負の感想でも書いたように、先月、国勢調査の確定値が発表された時に、十番勝負対策も兼ねて人口や人口密度の増減については事前に調べておりました。その中で、特にマークしていたのが5年間の人口減少数で今回の落書き帳五千万字達成記念の「五千」という数字とも合致する「人口減少数5000人以上」でした。(該当市数87)
人口減少数ということで、下表のように、人口の多い北九州市や新潟市、横須賀、堺市などが上位に名を連ねていて、あまり人口減少のイメージには直接結びつかないなと感じていました。ただし、事前準備では国勢調査の世帯数関係は作業のためにエクセルの列を非表示にしていたくらいで全く見ておらず、下表の右3列の数字は問五の解答を考える時に改めて追加し、初めて併せて見た項目です。
【2020年国勢調査 5年間の人口減少数の大きい順】
順位 | 市名 | 人口 | 人口増減率 | 人口増減数▼ | | 世帯数 | 世帯増減率 | 世帯増減数 |
1 | 北九州市 | 939,029 | -2.31534 | -22,257 | | 436,245 | 2.32686 | 9,920 |
2 | 新潟市 | 789,029 | -2.57753 | -20,882 | | 331,272 | 3.03598 | 9,761 |
3 | 長崎市 | 409,118 | -4.74729 | -20,390 | | 187,423 | -1.05375 | -1,996 |
4 | 横須賀市 | 388,078 | -4.55205 | -18,508 | | 165,473 | -0.16471 | -273 |
5 | いわき市 | 332,931 | -4.94123 | -17,306 | | 141,411 | 0.24243 | 342 |
6 | 函館市 | 251,084 | -5.60007 | -14,895 | | 121,793 | -1.74022 | -2,157 |
7 | 呉市 | 214,592 | -6.10802 | -13,960 | | 94,483 | -3.00682 | -2,929 |
8 | 下関市 | 255,051 | -5.01495 | -13,466 | | 115,817 | -0.41359 | -481 |
9 | 堺市 | 826,161 | -1.56664 | -13,149 | | 366,079 | 4.50413 | 15,778 |
10 | 青森市 | 275,192 | -4.33029 | -12,456 | | 118,483 | 0.21060 | 249 |
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87 | 村上市 | 57,418 | -8.04587 | -5,024 | | 21,549 | -2.66058 | -589 |
この表で見ると、人口減少数トップ10の中でも人口の多い北九州市や新潟市、堺市などは世帯増減率はプラスになっています。人口は大きく減っているのに世帯数は結構増えているという、ある意味不思議な現象が起きています。
この表にはありませんが、奈良県内の12市を見ても人口が減少している10市のうち6市は世帯数は増加していました。国勢調査の人口データが発表されてデータを見た時は、
[103261] でも書いたように奈良県内の多くの市が軒並み3000人程度(5%~10%)も人口が減っている事にショックを受けましたが、世帯数の増減も合わせてみた時、実は世帯数は必ずしも減っていないということになります。そして、これは一体何を意味しているのかを考えた時、少し先恐ろしくなりました。
上記二つの表「世帯数の減少」と「人口の減少」とでは上位市の顔ぶれが変わってきています。最初の表で見た「世帯減少数」は「人口の社会減」と相関していると考えられます(一番の相関は「率」だとは思いますが)。表の上位にリストアップされる市は地域の基礎産業の衰退や震災の影響など、ある意味何らかの理由が考えられます。それに対して、下の表「人口減少数」では、リストアップされる市が人口減少とはあまり直接的なイメージが結びつきませんでした。
「世帯数が増えているのに人口が減っている」のはなぜか。つまり人口の「自然減」が「社会増」を上回っている、そういう都市が増えてきているということになります。奈良県北部もこれまでは大阪のベットタウンとして社会増で人口が増えてきました。少子化が叫ばれて久しいですが、周辺では社会増の影響なのか人口は増えていた事もあり、私自身あまり気にしていなかったところがあります。そんな中、5%もの人口減少とそれが社会増をも飲み込むほどの自然減となると、今後、ますます減少に拍車がかかるのは間違いないでしょう。これから高齢者になって行く身としては、何とも不安になる結果でした。
そんなわけで若者チームの皆さん、早めに結婚してたくさん子供を作ってください。(笑)
※表の数字がなぜか右寄せにならず見にくくて申し訳ありません。(-)符号が入っているからでしょうか??
もし、お分かりの方がおられたら、ご教示ください。