[23767]スナフキんさん
調べれば調べるほどハマってしまいますねぇ。
本日の調査結果。
■『全国市町村要覧』
年版次 | よみ(本文) | よみ(索引) | よみの根拠 |
昭和38年版 | いちう | いちう | 昭和35年国勢調査 |
昭和39年版 | いちう | いちう | 昭和35年国勢調査 |
昭和40年版 | いちう | いちう | 昭和35年国勢調査 |
昭和42年版 | いちう | いちう | 昭和41年12月各都道府県地方課長宛の回答による |
昭和43年版 | いちう | いちう | 昭和42年12月各都道府県地方課長宛の回答による |
昭和44年版 | いっちゅう | いっちゅう | 昭和43年12月各都道府県地方課長宛の回答による |
: |
昭和51年版 | いっちゅう | いっちゅう | 昭和51年3月各都道府県地方課長あて照会 |
昭和52年版 | いちう | いっちゅう | 昭和52年3月各都道府県地方課長あて照会 |
: |
昭和55年版 | いちう | いっちゅう | 昭和55年3月各都道府県地方課長あて照会 |
昭和56年版 | いっちゅう | いっちゅう | 昭和56年3月各都道府県地方課長あて照会 |
昭和57年版 | いちう | いっちゅう | 昭和57年3月各都道府県地方課長あて照会 |
昭和58年版 | いちう | いちう | 昭和58年3月各都道府県地方課長あて照会 |
: | | | (昭和61年版から平成8年版まで未調査) |
平成13年版 | いちう | いちう | 各都道府県地方課等への照会(平成13年4月) |
一つの可能性として昔は市町村名の字ヅラはともかく、呼び名にまでは厳格さを求めていなかったのではないかというのはあるかもしれません。最近では和歌山県広川町の読みを変更するのでも官報に告示されるほどシビアですが、昔はこと方言や訛りによる音便などを尊重して目をつむる空気が、ひょっとしたらあったのかなとも思えます、
については、昭和53年版から「昭和40年3月29日以降の合併、市・町制施行、名称変更」の一覧のページが設けられており、読みだけの変更の最古のものは「昭43.4.1南幌町 みなみほろ→なんぽろ」とされています。その後、「昭57.4.1佐伯町 さえき→さいき」「昭59.5.1溝口町 みぞくち→みぞぐち」と続きますが、一宇村は市町村要覧の本文上では昭和43年から昭和57年にかけて読みの変更があるにも関わらず記載されていません。
スナフキんさんの手持ち資料の“謎の4年間”は、昭和44年~48年なので、最古の公認読み変更はそれより前になりますが、南幌町はちゃんと手続した、一宇村はしてない、ということになるのでしょうか。もしくは、一宇村のよみはそれまで決めたことがなかったのかもしれません。そして、地元は「いっちゅう」のつもりだったのに県は(県庁といえども地元からすればヨソ者でしょうから)「いちう」と国に報告していた。それが、
古くから呼びなれてきた、輝く伝統をもつ意義ある村名「一宇(いっちゅう)」に誇りをもって村民自らが進んで正しい村名を使うようにしなければなりません。
次代を背負う児童・生徒の教育にあたられる先生方には、特にお願いします。
になったのかな、と、また推測です。
ちょっと逸れますが、不思議なことに、徳島県は昭和40年3月29日以降、3件の合併(昭41.10.1応神村→徳島市、昭42.1.1国府村→徳島市、昭42.1.1大麻町→鳴門市)があるのですが、昭和58年度版~昭和60年版には徳島県の欄そのものがないのです。単純な欠落だとは思うのですが…。(平成9年版では復活しています。この間を調査する楽しみができました)
■『昭和30年~32年調 新編美馬郡郷土誌』(昭32 美馬郡教育会*昭56の復刻版)には、「昔の発音を捨て文字通りイチウと云うように変わりつゝある」と記述。(ということは当時は「いっちゅう」)
■『徳島年鑑』昭和48年版~昭和52年版(徳島新聞社)では、「いちう」。
■『四国の民家と集落一 一宇村』(宮澤智士 昭52 財団法人四国民家博物館)には「一宇村概要」の章に「一宇村は「いっちゅうそん」と読み」と記述されている割には、英文書名が「Traditional Houses and Communities in Ichiu Village, Tokushima Prefecture, Shikoku District」とあっけなく「Ichiu」。ただしこの章に「一宇村では昭和47年に「一宇村史」を刊行した」という記述がありました。まさに“謎の4年間”に、です。しかし残念ながらこの図書の所蔵が見つからない。国立県立クラスの図書館系のデータベースにはなかった(※)ので、市町村立クラスの図書館のデータベースを引き続き探してみます。
*昨日は西暦を主にして書き込みましたが、今日は市町村要覧の年版のこともあるので和暦に統一しました。
※一宇村史の所蔵については東京都立、広島県立、徳島県立の図書館で発見しました。ので、「国立県立クラスの図書館系のデータベースにはなかった」は誤りです。[23805]にて報告します。(この一文を1/15 19:10頃に追加)