[17244]NSさん
三丁目さんの地理アドバイザーさん(釧路在住)が合併問題についてどのように考えておられるのか、聞いてみたい
A4で1枚くらいの量かと思いきや、私(三丁目)の予想を超えた分量が、到着しました。ということで、以下は、本人とやり取りして了解を得、落書き帳向けに一部修正した、代理書込みです。
まずは,私(地理アドバイザー、以下の「私」はアドバイザー氏の一人称です。)は釧路市民なので,釧路町民の意見や感情は代弁できず,あくまで報道などによる感触に過ぎないことをお断りしておきます。
現在進められている広域合併協議になる前の,釧釧(センセン)合併は,2年前に市・町の住民による署名活動によって合併協議会が設置されたことに始まっています。もっとも,署名の依頼元が市役所の筋から来ていることは明白でしたが,それはともかく,多数の釧路市民と釧路町民が,合併推進に賛同したことによって,合併協議が始まったわけで,決して市長や市役所のゴリ押しや,無理強いで進められたのではありません。
ご指摘のとおり,釧路市と地続きの雪裡太地区は,釧路市への通勤者が多い新興住宅地であることから,歴史的な経緯など知らない(知っても気にしない)人が多いため,「合併してもいいんでないかい」みたいな考えが強いようです。この地区の人口が釧路町の約6割を占めるために,署名も多く集まったわけです。
また釧路市民としては,雪裡太地区には旧サティを中核とする釧路最大のショッピングセンターがあり,日常的に往来するものの,途中に市町境界があることなど,別に意識しないことでした。
しかし,それを意識させる大きな出来事が,4年前の地域振興券でした。釧路市の振興券が,釧路サティでは使えない!ことがお茶の間の大問題となり,合併問題を俄然身近な問題に浮上させることになったのです。
その後,合併特例法で市町村合併の動きが高まり,20万都市に復活したい釧路市役所にとって,この騒ぎは渡りに舟で,「やっぱりサティは釧路市にあった方がいいでしょ?」と,市民に合併を問いかけたようなもので,これに多くの市民が賛成署名で応じたのだと考えられています。
釧路町民には,歴史的経緯にこだわる人もいる一方で,「そんな昔のこと・・・」と意に介しない人が多いのも確かで,当初はすんなり和解して合併に進んでいくかのように思われました。
しかし,町長はじめ町議などの有力者は,大半が雪裡太以外の農村部の代表者であり,合併すれば自らの地位が失われることは必至でした。役場職員も同じく,合併後の組織統廃合による人員削減等に対する危機感など,住民の意思をさて置き,釧路町の慎重な態度によって協議会は停滞したため,業を煮やした前市長が町長選挙に介入してしまったのです。
その後,2市町の合併協議から6市町村の広域合併協議に移ってからは,他の市町村合併と同じく,過疎と高齢化で財政が破綻しそうな町村の救済のための合併か,広域行政によって地域の埋没,独自性の喪失を危惧しての現状維持か,の定番の議論になっています。
構図としては,
「財政が破綻するから,釧路市に入れてちょうだい」の4町村
「別に合併なんかしなくてもいいんだけどさ」の釧路町
「そこをなんとかお願いしますよ」の釧路市
てな感じで,一番鍵を握っているはずの釧路町が斜に構えてしまっているために,協議は大詰めに差しかかる手前で停まっている状態です。私がシャレてみるには,釧釧合併とは,合併センセン,の意味だったのではと。
最後に一市民としての私の意見ですが,救済合併は動機が消極的であり,釧路市だって産業が衰退し,過疎高齢化の問題は同類なので,合併によるメリットは何もないと思います。釧路町は,雪裡太地区があれば単独で生き残れると考えているようだし,地域振興券のようなことがなければ,境界を意識することはなく,市がへりくだってまで合併してもらわなくてもいいと考えます。
ちなみに,この6市町村はごみを釧路市の処分場で一括処分しており,4町村は単一の消防組合を運営していて,釧路市の火葬場と墓地が釧路町にあったり,雪裡地区の上下水道は釧路市に依存していたり,既に広域行政が行われています。住民サービスの充実,効率化という点では,もうこれで十分じゃないかと思われます。
結局のところ,釧路市の人口を増やすためだけの合併は,市民生活に何の利益もなく,合併なんかしなくてもいいんじゃないか,と思っています。
地理愛好家としては,面積で日本最大,という栄誉(?)に惹かれる気持ちもないではないのですが。