地域メッシュ統計を用いて、宮城県南部の中心・拠点となる都市を探ってみました。
基礎となるデータは、平成28年経済センサスから抽出した金融業・保険業の従業者数です。金融業・保険業に的をしぼったのは、都市の中心性・拠点性は金融業・保険業の集積に端的に現れるのではないかと考えるからです。
対象地域は、仙台市以南の全市町です。自治体人口の多い順に並べると、名取市(79,141人)、岩沼市(44,378人)、柴田町(38,728人)、亘理町(32,884人)、白石市(32,863人)、角田市(28,154人)、大河原町(23,683人)、丸森町(12,481人)、山元町(11,757人)、蔵王町(11,449人)、村田町(10,601人)、川崎町(8,478人)、七ヶ宿町(1,254人)になります(令和2年7月1日推計人口)。この地域には335,851人が住んでいますが、風格のある中心都市がないのが特徴です。
集計は次の手順で行いました。
1・宮城県南部の地図に3次メッシュ(1kmメッシュ)を掛けます。
2・平成28年経済センサスを基に、個々の3次メッシュに金融業・保険業の従業者数を記入します。
3・辺が接していることを条件に、従業者数1人以上のメッシュを連結し、金融業・保険業集積地域を画定します。
4・金融業・保険業集積地域を都市とします。
5・各都市に従事する従業者数を算出します。
6・各都市に名称を付します。
6・各都市の中心地点にマークを付します。中心地点の特定は各種要素を基に判断しました。
上記集計の結果、宮城県南部で金融業・保険業の従業者数が最も多いのは大河原で、名取・岩沼・白石・角田と続くのが解りました。ただし、この大河原には柴田町船岡の市街地も含まれています。大河原市街の端と船岡市街の端は至近距離にあるため、同じメッシュに覆われます。しかし、人家の無い丘陵で隔てられた2つの市街地を1つにまとめて良いものか、引っ掛かります。そこで、参考までに大河原と船岡に分割してみました。その結果、大河原299人、船岡108人となりました。
また、辺は接していないが角だけ接したメッシュも取り込んで集計すると、船岡、名取、岩沼の数値が少し増えます。これを「緩めの集計」としてカッコ書きで記載しました。
都市名 | 金融保険従業者数 | 緩めの集計 | 中心地点 | 摘要 |
大河原 | 407人 | (416人) | ここ | 大河原町の中心市街地 |
※大河原 | 299人 | (299人) | ここ | 大河原町の中心市街地 |
※船岡 | 108人 | (117人) | ここ | 柴田町の中心市街地 |
名取 | 400人 | (429人) | ここ | 名取市の中心市街地 |
岩沼 | 298人 | (302人) | ここ | 岩沼市の中心市街地 |
白石 | 243人 | (243人) | ここ | 白石市の中心市街地 |
角田 | 202人 | (202人) | ここ | 角田市の中心市街地 |
亘理 | 83人 | (83人) | ここ | 亘理町の中心市街地 |
永野 | 41人 | (41人) | ここ | 蔵王町の中心市街地 |
村田 | 26人 | (26人) | ここ | 村田町の中心市街地 |
丸森 | 23人 | (23人) | ここ | 丸森町の中心市街地 |
川崎 | 21人 | (21人) | ここ | 川崎町の中心市街地 |
山下 | 20人 | (20人) | ここ | 山元町の中心市街地 |
槻木 | 18人 | (18人) | ここ | 柴田町の副次市街地 |
1kmメッシュの性格上、船岡市街を巻き込んでトップに立った大河原ですが、明治初期の警察署設置を振り返れば、これも納得できる結果なのです。明治初期、宮城県は仙台、古川、石巻、大河原に警察署を設置しました。その時の大河原署は、今回取り上げた宮城県南部の全域を管轄していました。