[20429]kenさんの書き込み以来、地名に関する書き込みが多くなってきましたね。最近パズルばかりやってましたが、触発されて久しぶりに地理的な書き込みをしてみましょ。
楠原氏の本、本当は読んで感想を書くべきなのでしょうが、ここはみなさんの書き込みにあった内容について反応します。
例え郡名であろうと、郡名自体が合成名である場合や、郡の一字プラス方角字地名は否定。
国衙、郡衙が所在した場所に比定できない場所が、国名もしくは国名の一字、郡名を使用することも「僭称」。
「和名抄」に載っていない地名は全部NG
合成、瑞祥は当然NG
となると、本当に
[20445]uttさん
この人がOKと思える地名は、どんな地名なのか気になります
といった感じです。
三重県の香良洲町や、北海道の奥尻町なんかは、自然の地形がそのまま自治体になってますから、もしかしたら楠原氏のお眼鏡にもかなうかも知れませんが、どちらにしろ、大半の自治体名がアウトですね。また、合併の際、1つの自治体名を存続させた場合は、本来の地名の範囲を越えることになりますからすべてダメですね。
しかし私は、地名が指す範囲など、時代によって変わり得るものだし、ある時間においても、人々は地名の明確な境界を認識してはいないのではないかと思っています。現在ではどの土地も、必ずいずれかの自治体に属していて、かつ、同時に2つの市町村に属する土地はありませんが、時代をさかのぼれば、ある土地がAという地名で呼ばれ、同時にBという地名でも呼ばれていたなどということは普通にあったでしょうし、逆に誰も住まない草原地帯には地名がないということもあったでしょう。結局、「本来の地名の範囲」なるものを特定することは、不可能であると感じます。
また、
[20434]はやいち@大内裏さんの書き込みにあった
新自治体名で揉めたとき、
その土地に無関係な抽象名をつけるくらいなら、連称で解決すべし
という楠原氏の主張も、私は賛同しかねます。
確かに、その土地の地名の歴史を守ることを重視すれば、連称にするのが一番でしょう。しかし、地名は土地の歴史を表すものであると同時に、他の土地と区別するために実際に使われるものであることを見逃してはなりません。連称により長くなった地名を実際に口に出し、紙に書くことは、かなり面倒なはずです。現在の自治体に、6文字以上や9音以上の自治体が存在しない(妙高高原町は9文字ですが8音です)のは偶然ではないと思います。また、大湊田名部市が結果として失敗に終わったという歴史的事実がこのことを証明していると思います。頭文字の合成は、安易なようですが、地名が長くなることによる煩雑さを回避しつつ、地名の歴史もどこかに残しておきたいというジレンマの中で生み出された知恵なのだと思います。
余談ですが、続・都道府県十番勝負の問一(解答は「読みが8文字以上の市町村がある」。グリグリさん
[19511]参照)の答えがわかったときに、あることに気づきました。それは、「読みが8文字以上の市町村は、すべて4字以下である」ということです。5字の自治体は現在ひたちなか市、南アルプス市、天城湯ヶ島町の3つがあるのですが、読みはそれぞれ5文字、7文字、7文字です。11月誕生予定の富士河口湖町も7文字なんですよね。「書くのが面倒な分、発音するときはできるだけ短く」という潜在的な何かがあるのか、それとも偶然なのか分かりませんが。5字である上に読みも8文字である大湊田名部市が改称した一因はこんなところにあるのかな、と考えてみたりしました。