[65571] いっちゃんさん
[65599] 油天神山さん
1960年代前半までの米沢地方では電信柱を「デンキンバシラ」と呼ぶ人がかなりいました.主に年配の方々だったと思いますが,耳で覚えた音をそのまま反復する小さい子供たち(私を含む)も,やはり「デンキンバシラ」と発音することが少なくなかったと記憶します.
恐らく,「電気の柱」だから「電気ん柱」だ,という理屈なのでしょうね.
類似の例では,山形県西置賜郡小国町の一部ではリヤカーを「ニヤカー」と呼ぶ,という事例が報告されています[柴田武:「日本の方言」(岩波新書C100,岩波書店1958),182ページ].柴田氏によれば,
「荷物」を積むから、「荷ヤカー」となったものであろう。
とのこと.
因みに,その「日本の方言」という本は,東京に出て行った友人・同級生たちがあっという間に「東京弁」に染まっていく中,私自身が「訛りの強い共通語」というところに踏み止まるための大きな力になりました.
【追補】
より年配の方は,「デンキンバッシャ」と発音していました.「シラ」という音が「ッシャ」と発音されるためです.
「知らない」は「ッシャーネ」,「白い」は「ッショイ」,「白粉」は「オッショイ」のように聞こえます.厳密に言えば,舌の先端部の位置が若干後退するようにも思えますが,私自身はそのような発音を忘れてしまった世代に属しますので,確たる事は言えません.
さらに加えれば,「キ」は「キシ」を同時に発音するような音になります.「xshi」とでも表記すればよいのでしょうか?