さざ波さんの高校入試問題内容まとめ(
[94667]・
[94684])を見ながら問題をチェックしていたのですが、はっきり言って「つまんない問題」だなぁという感想を持ちました。知識・暗記偏重教育からの脱却というお題目とは裏腹に、資料を使って解く問題や一般常識で解く問題がほとんどありません。大半の問題が知識の確認をするだけです。公立高校の入試ゆえに学習指導要領の枠組みを守らなければならない、各学校で採用している教科書による有利・不利が出てはならない、といった縛りもあるでしょう。縛りから外れた問題を出すと塾がうるさい、という事情もあるかもしれません。
その一方で「知識自体を問わなければ何でもアリ(?)」なのが公立中高一貫校の適性検査。建前として「学力検査」ではありませんが、ある程度は客観的に合否の線引きができるように「正解が決まっている」問題によってふるいにかけられます。それでは、実際の問題を見てみましょう。地理分野に分類されるようなものを取り上げてみます。
平成29年・神奈川県立中等教育学校適性検査(1)の問1(1)
センター南駅からみなとみらい駅までグリーンラインを利用する場合の最短の所要時間を、条件に従って求める問題。駅間の所要時間は実態に合ったものですが、乗り換え時間が一律5分というのは甘い設定です。実際にはホームからホームへの移動時間に加えて列車の待ち時間も発生するので、乗り換え1回につき10分ぐらいは必要です。
なお、「設問における正解ルート」と「一般的に使うルート」が違うのが気になります。考えられる複数の経路を全部確かめて解答すべきですが、常識に沿った経路が正解になるようにしてほしい。論理的に解く能力も大切ですが、経験に従って解答にたどり着くというのも大事だと思います。乗車経験が得点に有利に働くという判断があったのならば、架空の路線を問題に使えばいいはずです。
同・横浜市立南高校付属中学適性検査(1)【2】問題1
「月」が描かれている国旗をテーマに、4か国の国旗・位置・基本情報(面積と人口)を特定させる問題。各国の説明文から正解にはたどり着けるが、人口密度は与えられた面積と人口から自分で計算しなければならない。国旗と位置を知っていれば気持ちの面ではラッキーだったかも。