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88さんの記事が1件見つかりました

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記事番号記事日付記事タイトル・発言者
[81871]2012年9月19日
88

[81871] 2012年 9月 19日(水)22:04:47【4】88 さん
市制・町村制下の市制施行の根拠について
[81869] むっくん さん
大変参考になる資料の提供、ご教示を頂きありがとうございます。

市制・町村制下の、いわゆる町から市への単独市制施行が、「廃置分合」にあたるとは想定外でした。
やはり、根拠をしっかりと追わないといけません。
ご紹介のように、
○○町(○○村)ヲ廃シ其ノ区域ヲ以テ★★市ヲ置ク
ですから、「改称」はあり得ません。法人格については、いわゆる「新設合併」と、同じ扱いです。そのため、名称もすべてリセットです。
市制・町村制下岡谷市、北見市等の市制施行が、「市制→改称」とも「改正→市制」とも判断つかなかったのは、わかってみれば当たり前のことでした。

ちなみに、町村から市制施行した際に実質的に改称した岡谷市等の例に限らず、単に市制施行した例を確認してみても、ご紹介のように、「○○町ヲ廃シ其ノ区域ヲ以テ★★市ヲ置ク」でした。
例:兵庫県赤穂郡相生町→相生市
S17.9.25内務省告示第596号
市制第三条及町村制第三条ニ依リ昭和十七年十月一日ヨリ兵庫県赤穂郡相生町ヲ廃シ其ノ区域ヲ以テ相生市ヲ置ク

なお、これにより、市制・町村制下のいわゆる単独市制施行も、かなり、追加調査の上、変更種別の修正が必要となるものが出てくると思われます。[62660][62661]([62662])拙稿で、M22.4.1当初から明治末までの市制を調査したのですが(実は私の過去の投稿の中で最も自負している投稿)、これを大正・昭和と対象を広げて調査すべきであると痛感しております。
[62660][62661]で述べたように、明治期のものも市制施行も根拠がさまざまであり、これら一つ一つの事例ごとに、法人格が一旦消滅したのか否か、その時点の根拠条文を確実に押さえ、確認することが必要であると考えます。
[62660]のようにM23.5.17法律第36号郡制第2条
第二条 郡内ノ町村ヲ変シテ市ト為シ若ハ市ヲ変シテ郡内ノ町村ト為スハ其市町村会ノ申請ニ依リ内務大臣之ヲ定ム
を根拠として市制施行した例も幾つかあります。
今回ご紹介をいただいた、市制第3条及び町村制第3条を根拠とした市制施行の背景は、M32.3.16法律第65号郡制との関係を含めて考察する必要があると思われます。

変更種別に関しては、[70815]拙稿で
#究極は、「新設」の用語を「合体」に変更したい気持ちもあるのですが、あまりに影響が大きすぎるので当面保留。
と提案したのですが、やはり今回俎上に載せます。
従来の「新設」を、「合体」と「新設」に使い分けることを提案します。
「新設」は合併を伴わない「新規設置」との意味に使用します。具体的には、今回のような市制第3条・町村制第3条による単独市制の例や、熊本県八代郡郡築村岡山県児島郡藤田村秋田県南秋田郡大潟村など、法人格が新たに生ずる場合に「新設」を使用します。
一方、いわゆる「新設合併」については「合体」とします。この場合、従前の法人格が一旦消滅し再設置する意味では「新設」の意味を含むのですが、地方自治法の条文に出てくる法律用語ではないものの、新設合併を「合体」、編入合併を「編入」と称するのは、合併の世界では一般的であることからも、紛れがないと思います。
#滋賀県HP内の「市町村合併ハンドブック」のページ(今はリンク切れに、私は手元にデータを保管)では、市町村合併の詳細な解説をしていたのですが、「合体」「編入」を使っていました。IssieさんのHP市一覧表むじながいりさん(エイちゃさん)のHP市町村変遷パラパラ地図でも同様です。)

もっとも、[市区町村変遷情報における表現は、上記「合体」の変更種別の導入の是非、また、[70815]88、[81866]グリグリさんの、「/」ではなく「→」「・」の導入の有無により異なってきます。

>皆さま
市区町村変遷情報において、どのような表現をすればわかりやすく、かつ、正確であるかについてご意見をいただければ幸いです。
>グリグリさん
この件については、[81866]の件と合わせて、別途、意見のメールを送付します。少々時間をください。また、グリグリさんもよろしくご検討ください。

――――――――――
以下、本論とはあまり関係のない余談です。

M44.4.7法律第68号市制
第三条 市ノ廃置分合ヲ為サムトスルトキハ関係アル市町村会及府県参事会ノ意見ヲ徴シテ内務大臣之ヲ定ム
はその後、2回改正されています。
まず、S18.3.20法律第80号市制中改正法律により
第三条 市ノ廃置分合ヲ為サムトスルトキハ関係アル市町村会ノ意見ヲ徴シテ内務大臣之ヲ定ム
に改正されています。この改正の施行は、同法附則第1項
本法施行ノ期日ハ各規定ニ付勅令ヲ以テ之ヲ定ム
を受けた、S18.5.25勅令第442号昭和十八年法律第八十号市制中改正法律及同年法律第八十一号町村制中改正法律ノ一部施行期日ノ件
昭和十八年法律第八十号中市制・・其ノ他ノ未ダ施行セラセザル部分ハ同年六月一日ヨリ之ヲ施行ス
により、S18.6.1施行です。
(S18.3.25勅令第180号昭和十八年法律第八十号市制中改正法律及同年法律第八十一号町村制中改正法律ノ一部施施行期日ノ件の対象外であるので、「其ノ他ノ未ダ施行セラセザル部分」となります。)

2回目の改正は、S21.9.27法律第28号市制の一部を改正する法律により
第三条 市ノ廃置分合ヲ為サムトスルトキハ関係アル市町村会ノ議決ヲ経テ内務大臣之ヲ定ム
と、改正されています。この改正は、同法附則第1項
この法律中公民権に関する規定(名誉職に関する規定を含む。以下これに同じ。)及び議員の選挙に関する規定(附則第十項及び第十一項の規定を除く。)は、次の議員の総選挙から、これを施行し、その他の規定の期日は、各規定について、勅令でこれを定める。
を受けた、S21.10.4勅令第466号昭和二十一年法律第二十八号(市制の一部を改正する法律)及び昭和二十一年法律第二十九号(町村制の一部を改正する法律)の施行期日を定める勅令
昭和二十一年法律第二十八号・・は、これらの法律中公民権に関する規定・・を除き、昭和二十一年十月五日から、これを施行する。
により、S21.10.5施行です。

このため、ご紹介の(1)から(4)は、市制第三条とはいえ、趣旨は全く失われませんが、その時点により、微妙に条文が異なっております。

――――――――――
実は、私も市制・町村制、地方自治法などが何度も改正を重ね、条文が年代によりその都度異なっていることを痛感し、各法の改正沿革を片っ端から追い、エクセルで逐条の改正沿革がわかるような膨大な表を作成したからです(地方自治法改正の逐条の沿革をまとめたファイルは12.7MBにもなってしまいました)。
ちなみに完成したのは、地方自治法、市制(旧)、町村制(旧)、市制(新)です。
町村制(新)、府県制などは、これからの構想です。

#文章の順序入れ替え等、言いまわしを大幅に修正(9/20早暁)
[81872] 伊豆之国 さん のご指摘により修正(多謝)


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